ライナーノーツ


言うまでもなくREACTIONは、1980年代初頭に登場したヘヴィメタル・ロックの大ベテランである。メンバーの離脱、解散、再結成、そしてメンバーの急逝と、バンドに付き物の事件に襲われる難行を超えてきた稀有なバンドである。音楽を形式や儀式で分別するのは世の常だから反抗はしないが、REACTIONを、単にヘヴィメタルの雄、としてだけで観る事は、少なくとも僕には出来ない。どんな音楽にも源となる心情や風景があり、文章や語りでは表現し切れないモノを絵や図も用いて表現するインフォグラフィックスのひとつだと思う。今、こうして代表曲の新しい表現版のいくつかを聴くと、彼らがかつて描いてくれた大都会の、特に東京の夜の高速道路のセンターラインやオフランプの風景が再び浮かぶ。更に、変貌した現在の風景やそれを見る人の心情にも想いが及ぶ。音というより音の絵筆の持ち主、反町YUKIの、バンドの要として才と熱の歴史を改めて感じる。優れたロック・インフォグラフィックス・マン、そしてバンド…Farewellという表題に、感傷的にはならず明日を想いたくなる一作だ。

(2021年6月)大伴良則


「ブッ倒れるヤツは後ろで見てろ!」

 それはなんとも強烈な咆哮だった……。 

音楽雑誌の1ページを飾ったREACTIONからのメッセージは、当時ライヴハウスで多発していた酸欠で気を失うオーディエンスの多さに対する言葉でありながら、時代を経た現在では、80年代中期に日本を席巻したジャパメタ・ムーヴメントがどういうものであったのかを、たったひと言で言い表す言葉でもある。
 メンバーの中でも、バンドの心臓とも言うべきドラムの梅沢康博と、ギターの斎藤康之を失ったREACTIONの再結成は不可能だと、誰もが思っていたに違いない。しかし、ベースの反町哲之の内部でくすぶっていた小さな炎は、消えることなく燃え続けていたのだった。
 ドラムに本間大嗣、ギターに小松優也をサポートに迎え、遠く北の大地に居を構える優也のギターはリモートで録音されるという、現代的なレコーディングを経て、ジャパニーズ・ヘヴィメタルの黄金期を彩ったREACTIONがここに蘇った。
 オープニングの「夢の欠片」は、まったくの新曲ながら、音が鳴ったとたんに、そこにいるのが紛れもなくリアクションであることがわかる。頭で理解するのではなく、肌が覚えている、あの独特の突進感とバンドのグルーヴなのだ。これには、一瞬で魅了されてしまった。
 ここから目まぐるしく、古い曲も入り乱れて披露されていくのだが、加藤純也の声で耳馴染んでいるはずの楽曲でも、しっかりと自分のものにして、新鮮な空気感で聴かせてくれる木村直樹のヴォーカルが、やたらと身体にまとわりつく。バンドのアンサンブルに対するこのからみかたも、間違いなくREACTIONそのものだ。
 バンド結成直後の83年に、2曲入りのデモテープとしてリリースした「LUST」から、最新の「夢の欠片」までの道のりを見せてくれるアルバムでもある。 
 38年にも及ぶ歴史の集大成がここに結実している。
そうだ。これがREACTIONだ!
これこそがREACTIONなのだ!!

 「聴いているだけで卒倒するんじゃないぞ。
  ブッ倒れるヤツは後ろで聴いてろ!」

(2021年6月15日) 大野祥之